「ダイエットしようと思っても、いつも『明日から』って先延ばしにしちゃう…」
「仕事で新しいソフトを使わなきゃいけなくなった…億劫だな〜」
「スキルアップしたいけど、勉強を始めてもなかなか続かない」
みなさんにも、こんな経験ありますよね?
実はこれ、全て「現状維持バイアス」という人間の心理が影響しています。
この記事では、すべての人間が持つこの「現状維持バイアス」の性質を知り、どうすればうまく外すことができるのか、その方法についてご紹介したいと思います。
これまでの一般的な対策法ではあまり触れられていなかった、現状維持バイアスの生物学的側面に根差した考え方を知ることで、現状維持から脱却し、成長し続ける人を目指しましょう!
現状維持バイアスとは?
そもそも、現状維持バイアスとは、「変化すること」を「不安」「面倒」と感じることで結果「現状維持」を選択する人間の心理的な性質のことです。
例えば、
- カフェでつい、いつも同じメニューを頼んでしまう
- ほとんど使っていないサブスクをいつまでも解約できない
といった、個人的な日常の場面にも、
- 今の職場に不満があるのに転職ができない
- 新商品がなかなか受け入れられない
- 今まで成功してきたやり方からなかなか変えられない
という、ビジネスや組織運営の場面でも、この「現状維持バイアス」が私たちの行動に大きく影響しています。
落ち着いて物事に取り組む土台を作ってくれるという意味では、必要な側面もありますし、物事の変化がゆっくりだった時代であれば、この現状維持バイアスはそこまで問題視されなかったでしょう。
ただ、現代のようにものすごく変化の激しい時代に「現状維持バイアス」に影響されて「変われないまま」となってしまえば、自分だけが周りの変化に取り残されてしまいます。
「もっと自分を成長させたい」「今の自分から変わりたい」
そんなあなたが現状維持バイアスに囚われていてはマズイですよね…?
現状維持バイアスはなぜ存在するの?
現状維持バイアスが起きる要因
では、なぜ現状維持バイアスは起きてしまうのでしょうか?
現状維持バイアスが起きる背景には、実はさまざまな要因があります。
現状維持バイアスは、
- 得するよりも損したくないという「損失回帰バイアス」
- 最初の設定をそのまま受け入れる「デフォルト効果」
- 自分の所有物に対して高い価値があると考える「保有効果」
といった他の心理学や行動経済学の特性とも相互に関係しています。
現状維持バイアスの根本原因ーホメオスタシス
でも実は、そういった心理に陥るさらに根本には、人間の生物学的な側面が影響しています。
それが、ホメオスタシス(恒常性維持機能)です。
ホメオスタシスとは、体温・血圧・心拍・精神状態などを「一定に保とう」とする生物としての自己調整機能。
ホメオスタシスに関わっているのは、自律神経系や免疫系、ホルモンを生成する内分泌系です。たとえば、私たち哺乳類は、周囲の気温が高くなっても、それに合わせて体温が上がったりしませんよね。自律神経が機能し、汗をかいて体温を一定に調節しています。
これがあることで私たちは人間として生きていけている。これは間違いのないことです。
ただ、この性質があることで、人間は「急激な変化=脅威」と感じ、変化に対して無意識に抵抗する心理的性質を持つんです。
現状維持バイアスのように認知や心理と同列で扱われる際には、生物学的恒常性の意味と区別するために「心理的ホメオスタシス」と呼ばれたりします。
現状維持バイアスを外すには?
では、この現状維持バイアス、どうすれば外すことができるのでしょうか。
一般的な現状維持対策としてよくあるのがこちらです。
- 現状維持バイアスを認知する
- 数字で物事を考えてみる
- 第三者からアドバイスをもらう
- メリット・デメリットを考えてみる
- 「現状維持は衰退と同じ」と考えを変えてみる
- 少しずつ普段と異なる行動や選択を取ってみる
確かに、どれも理に適った対策だと思います。特に、❶は、こういったバイアスが存在すると知っているか知らないかで自分の行動を見直すきっかけを作れるかどうかが変わるので重要ですよね。
❷〜❺に関しては、『現状から変えるべき』という根拠を様々な切り口で考えてみて、合理的に変わる方向を選択させるやり方です。
❻は、初めは小さくてもいいから、とにかく行動を起こすことで強制的に変化させるという方法ですね。
ホメオスタシスの考え方を取り入れると?
では、いよいよここからが本記事の本題です。
現状維持バイアスの一般的な対策だけではなかなか自分を変えることができない…とお悩みの方は、もう一歩踏み込んで、生物学的な側面に根差した考え方でそのお悩みを解決する方法を試してみて欲しいです。
その鍵となるのが「コンフォートゾーン」と「目標管理」です。
コンフォートゾーンとは
コンフォートゾーンとは、直訳すると、”快適な領域”ですが、ここでは、認知科学者の苫米地英人氏の定義の通り、『心理的ホメオスタシスが維持しようとする従来の環境やライフスタイルのこと』としましょう。
確かに、コンフォートゾーンにいれば安心・安全な気がするし、そこから出たくない気持ちはわかります。
例えばダイエットしたい時。
毎食ご飯はお茶碗1杯しっかり食べることが自分のコンフォートゾーンであれば、ご飯の量を半分にするのはコンフォートゾーンから逸脱するので不快です。
しっかり対策しなければ元のコンフォートゾーンに戻ろうとする心理的ホメオスタシスが働きダイエットが続かない…そんな結果になってしまいます。
コンフォートゾーンをずらす
そこで、まずおすすめしたい対策は、コンフォートゾーンをずらすことです。
そのためには思い切って、自分の所属する場所・付き合う人を変えることです。
「朱に交われば赤くなる」「類は友を呼ぶ」という諺があるように、自分が置かれた環境は自分の考え方や行動に大きな影響を及ぼします。
だから、例えば自分が特定のスキルを身につけたい!と思うなら、自分だけでなんとかしようとせずスクールに通ってみる。もっと視座の高い人たちがいる環境で成功する人の考え方を知りたいと思うなら、そういったコミュニティに参加するのも1つです。
付き合う人を変える場合は、自分が理想とする人の近くで仕事をする・学ぶなどが効果的です。その人の視座(モノの見方)や基準値(どのレベルでやってるか)などを知ることができ、自分がそのような視座や基準値を保つためにはどうすれば良いか、考えるきっかけにもなります。
自分のコンフォートゾーンを、今の場所から、自分の目指す方向に向かって少しずらす(=環境を変える)ことで、自分の行動が周りに影響されて変化しやすくなります。
目標管理
もう一つ重要なのは目標管理、もっと言えばその上のレベルに位置する自分の理想の明確化です。
この目標管理や理想の明確化の重要性については、このブログの他の記事でも様々お話ししていますが、この現状維持バイアスや心理的オススタシスを外す・乗り越えるためにも非常に重要なスイッチになります。
具体的なステップは、
- 自分の理想状態を明確に言語化する
- それを毎日目にする、声に出して読む
- 理想状態から逆算した目的・目標設定をする
- 設定した目標は3ヶ月周期で振り返り、新たに次の3ヶ月の目標を設定する
実際には、❸のあと、さらに細かくタスクに細分化して、スケジュールに落とし込むことで「こうなりたいな〜」とぼんやり描いていただけだった理想に「少しずつでも近づいている」そんな感覚が持てると思います。
「今年こそは〇〇の資格を取るぞ!」と意気込んでも、それを「いつ」やるか、もっというと資格勉強のための教材をいつ買うか?どのタイミングで勉強するのかなど、具体的にスケジュールに入れなければ絶対に行動できず、年が終わる頃になって「そういえば、今年の初めにそんな目標立ててたな…(遠い目)」って感じでまた一年が終わってしまいます。
先にあげた、環境
- 人生迷子のあなたに送るー自分の理想のベストな描き方
- 【最短でなりたい自分へ!】行動につながる目標の立て方!
最後に
いかがでしたか?
現状維持バイアスには、人間の生物学的な性質「ホメオスタシス」が関係しており、これは誰もがもつ、抗えない性質です。
しかし、それがあると気づくことで、うまくいかなかった時、サボってしまった時などに、『あ〜今自分にはホメオスタシスが影響して元に戻ろうという力が働いているんだな』と客観的に自分を捉えることができ、『自分の意思が問題じゃない。これは誰にでもあることだ』と自己肯定感を下げなくて済みます。
さらに、成功者の多くは、そのホメオスタシスの性質逆に見方にして、
【変化すること・成長することが当たり前】という状態を作ることで
【変化しないと・成長していないと気持ちが悪い】という心理状態を作っています。
変化を当たり前にできるためには、それ以前に相当の行動量が必要になりますが、そのレベルに行ければ必然と成果も出やすくなり、成功につながるのです。
現状維持バイアス・心理的ホメオスタシスをうまく外して自分をもっと成長させていきましょう!